雇用環境の変化で性格が変わる可能性があることを知っていますか?仕事環境が不安定だと、性格も変わっていってしまいがちだという研究成果がオーストラリアで発表されました。コロナ禍で経済的地盤が不安定になる中で、どんな対処をすべきなのかを調べてみました。
- 協調性が低くなり、落ち込みやすくなる
- 米国では従業員の「幸福トレーニング」が増えている
- 必要なのは古雑誌とノリと画用紙
協調性が低くなり、落ち込みやすくなる
気を付けたいのが、雇用環境が不安定になったときの自身のメンタルヘルスケアです。オーストラリアで9年にわたって、約1000人の労働者を調査した結果によれば、慢性的な不安定雇用が4~5年続くと、先行きの不安から性格が変化してしまう可能性があるというのです。
この研究によれば、ビッグファイブと呼ばれる5つの性格の要素のうち協調性と誠実性が低下し、神経症的になるリスクがあるそうです。
つまり、思いやりや献身的な行動と結びつく「協調性」と、規律や責任感、まじめさといった項目と結びつく「誠実性」が低下する傾向がみられ、感情面・情緒面で不安定さを示す「神経症的」な色合いが強まってしまうというのです。ただし積極性、社交性、明るさに通じる「外向性」には影響を及ぼさないそうです。
米国では従業員の「幸福トレーニング」が増えている
仕事の安定は会社の方針はもちろん、その国の政策とも結びついています。キャリアアップのための自己研鑽も大切ですが、キャリアアップで必ずしも雇用環境が良くなるわけではありません。むしろ雇用状況に関係なく、性格のマイナスの変化を防ぐ必要があるのではないでしょうか。
米国の心理学者であるマークトラバーズ博士は、米国の企業などが導入している、目標設定や笑いヨガ、気分認識トレーニング、瞑想などの「幸福トレーニング」を通して、雇用環境に関係なく幸福でいられる心理状態でいられるようにすべきだと指摘しています。
ここでは神経症的な傾向が強まらないユニークな方法を紹介します。
必要なのは古雑誌とノリと画用紙
用意するのは古雑誌とノリ、画用紙です。なるべくビジュアル的な雑誌を選ぶといいでしょう。1時間ぐらいで雑誌をパラパラめくって気になった写真などを切り抜き、画用紙に貼っていきましょう。
もともとセラピーとしてコラージュ療法は発展してきましたが、帝京平成大学の鵜木恵子教授は、手軽なリラクセーション方法としても効果があると書いています。
童心にかえったようで楽しいうえに、自分自身への洞察が深まるといった効果があるようです。切り抜いて貼るのを繰り返すなかで、自分の仕事のとらえ方も変わってくるかもしれません。
何だか落ち込みやすくなったなと感じたら、雑誌をめくって好きな写真を切り抜いてみてはいかがでしょう。
コラージュは、予想より出来上がりがキレイなことが多く、作品をつくった満足感も得られやすいリラクセーション法です。
今日は不安定な雇用環境が性格を変えてしまうという実験結果と、落ち込みやすくなったときに試したい、ちょっと珍しいリラクセーション法をご紹介しました。
心理学を活用したライフハックに興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「神経症傾向者に対する効果的なリラクセーション法の検討 ―コラージュ制作と自律訓練法の比較―」(鵜木恵子)/「Effects of chronic job insecurity on Big Five personality change」(Chiahuei Wu/Ying (Lena) Wang/Sharon K Parker/Mark A. Griffin)/「How Job Insecurity Can Change Your Personality」(Mark Travers Ph.D./Psychology Today)