「ケンカするほど仲が良い」なんて大ウソです。いいケンカと悪いケンカの見分け方

よく、「ケンカするほど仲が良い」と言われますよね。でもケンカには、絆を深めるいいケンカと、絆を壊す悪いケンカがあるようです。その見分け方を知り、できるならいいケンカで絆を深められたら良いと思いませんか。

  1. ネガティブコミュニケーションのコツをつかむのは難しい
  2. いいケンカとは
  3. 悪いケンカとは
  4. 最終的な目的は何かを考えて、それを叶えるためのコミュニケーションを!

ネガティブコミュニケーションのコツをつかむのは難しい

ケンカに代表される対立的なコミュニケーションを、心理学ではネガティブコミュニケーションと呼びます。相手を不快にさせたり、怒らせたり、落ち込ませたりする危険があるネガティブコミュニケーションは、実はかなり高度な意思のやり取りとされています。

本当は「もっと関係性を改善させたい」と考えてネガティブコミュニケーションを行っているのに、関係性が壊れる結果になってしまったら、本末転倒ですよね。ネガティブコミュニケーションのコツをつかむのは難しいことですが、成功すれば相手との仲がぐっと良好になります。カッとなってしまう気持ちを抑え、いいケンカができるようになりたいものです。

いいケンカとは

いいケンカには、特徴があります。それは、お互いがなるべくストレートに自分の要求と気持ちを口にすることです。「ストレートに」と言うと、「激しく自己主張してよい」と受け取る人もいるかもしれませんが、それは違います。

・要求をストレートに明示する

「私と仕事、どっちが大事なの?」という問いかけが嫌われるのは、本当の要求をストレートに明示せず、相手を困らせたい、愛情を試したい気持ちが前面に現れているためです。このような悪意は非難されて当然です。ストレートに、「早く帰ってきてほしかった」「もっと会いたい」でいいのです。それなら相手も素直に謝れますし、あなたのために時間を作ろうという気持ちにもなれます。

・相手の非難を受け止める

相手の非難がひとまずは的を射たものであったら、言い訳をせずに気持ちを受け止め、謝罪しましょう。自分の行動の理由を述べるのは、相手の要求に応えてからです。

例えば、「濡れたタオルをベッドの上に置きっぱなしにしないで!」と言われたとき、疲れていればいるほどムッとなって「しょうがないじゃないか、仕事で疲れてたんだから」「そう怒鳴るなよ」などと応対してしまいがちです。しかし、まずしなければならないのは、自分の行為を素直に認め、謝り、タオルをランドリーへ持っていくことでしょう。

相手の言い方を注意したり、タオルをベッドの上に置いてしまった理由を述べたりするのはそれからです。相手も、自分の要求が受け入れられたことを確認すれば、あなたの言い分を聞く気持ちになってくれます。

・気持ちを素直に表現する

「こうしてほしい」と相手に要求をするときに、「そうしてくれるととても嬉しい」「そうしてくれないと、悲しい」と、気持ちを素直に表現しましょう。人は相手の態度や言葉を非難できても、気持ちを非難することは難しいものです。相手のほうも素直になってくれるという作用も期待できます。

・相手の心理を過度にネガティブな方向に読み取らない

相手から気持ちを示されたら、それをそのまま受け取りましょう。相手の心理を、過度に悪意がある方向に読み取ると、どんどん険悪なケンカになっていきます。「本当は、こういいたいのだろう」「そんなふうには言っていないじゃない」と言い合いになり、どんどん解決から遠のいていきます。

悪いケンカとは

悪いケンカの特徴は、本来の「関係性を改善したい」という気持ちからどんどん離れてしまうやり取りです。自分の要求や素直な感情にフタをして、相手の行動ばかりを責めると、いいケンカになりません。

・相手を困らせたい、やり込めたいという気持ちが先に出る

問題を解決したい気持ちが、相手への悪意にすり替わってしまうと、悪意の応酬になってしまい、問題解決から遠ざかります。「いつもやり込められているから、今度は相手に勝ちたい」という気持ちになっていませんか。勝ち負けを意識してしまったら、本当にいい関係性は築けません。

・相手の人格を責める

相手の人格を責めてしまうと、絆に大きなダメージを負います。自分が同じことを言われたら、眠れないくらい悔しく、悲しいでしょう。相手の何に腹を立てているのかを正確に言いましょう。人格ではなく行為を指摘すれば、話し合いが進みます。

・気分のままに発言し、相手とコミュニケーションをとらない

もともとイライラしているときにケンカをしてしまうと、ろくなことになりません。ストレスを発散したくて過度に悪意のある言動をとり、相手とのコミュニケーションをないがしろにしてしまいます。イライラしているときには、むしろケンカを避けましょう。相手にとっても迷惑です。

・自分の本当の気持ちや要求が整理できない

気分や感情に流されて、自分の本当の気持ちや要求が整理できないと、相手もどう対応していいかわからず混乱してしまいます。ただの言い合いに発展してしまうため、本来の目的から遠ざかっていきます。少々クールダウンして、気持ちや要求を整理する時間を作りましょう。

最終的な目的は何かを考えて、それを叶えるためのコミュニケーションを!

実りあるケンカとは、両者の関係性が壊れるのではなく、むしろ好転するケンカです。ネガティブコミュニケーションを行おうとする側は、自分の要求は何か、最終的には何を達成したいのか、答えをはっきり出しましょう。そして、どんな言葉のかけ方が一番目的を叶えられるのかを考えましょう。そうすれば、互いの悪意がむき出しになるような激しいケンカは避けられるはず。「激しいケンカこそ、愛を深める」なんて、妄想ですよ!

参考:『図解雑学 人間関係の心理学』齋藤勇、ナツメ社

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