復讐の対象にならないための心理的基礎知識

よく小説や映画のテーマとなる復讐。ストーリーとして楽しむ分にはいいのですが、自分では絶対に巻き込まれたくないものです。では、そもそも復讐心は、どうしたときに生じるのでしょうか?復讐について調べてみました。

  • ナルシストには要注意
  • 相手への本当の復讐は、自分が幸せになること

ナルシストには要注意

同じような問題が起きても、実際に復讐しようと動き出すのかどうかは性格によっても変わってきます。復讐心との関係性が強いことで知られているのがナルシストです。自分に強い自信を持っており、自己中心的で他人に興味がないタイプのナルシストを攻撃すると、復讐心を刺激してしまう可能性があります。ナルシストにイラっときたときには、ちょっと思い出してほしい性格特性です。

人が復讐をするかどうかは、性格ではなく、状況も重要な要素です。

心理学者のジルマンの実験は、生理的な興奮が怒りを強くすることを証明しています。
実験に参加した大学生は、生徒役と先生役に分かれて、生徒役は電気ショックを受けます。ただし途中で役割を交代します。その交代のときに、一部の実験参加者だけはルームランナーで運動するようにしたのです。すると運動したグループは、生徒役として最初に受けた電気ショックよりも強い電気ショックで復讐したというのです。

これは運動が原因の興奮を、怒りとして認識してしまうことで生まれると言われています。ポイントは運動している間ではなく、少し体が落ち着いた後の怒りが強くなってしまうことです。実験でいえば、ルームランナーで走っている間は怒りを感じないのに、呼吸も整い、改めて電気ショックを与えた人物を見て、先ほどの恨みを思い出したときに怒りが増幅してしまったのです。

つまり運動などで生理的な興奮をした後は、怒りにつながるような「刺激」を与えない方がいいのです。冗談のつもりが手ひどい復讐を受けてしまうということにもなりかねません。

相手への本当の復讐は、自分が幸せになること

では、自分が復讐したいと強く思ってしまった場合はどうすべきでしょうか?

意外に感じるかもしれませんが、自分を傷つけた相手を許すとストレスが減るという研究結果があります。ただし怒りを解き放ってから許すことが重要のようで、相手に傷ついたことを伝えてから許すといった行動で復讐心を弱くすることができるようです。

そもそも復讐の大元となる怒りは、脳や精神に大きな負荷をかけます。不安感が高まり、集中力をそがれることもあります。また強い怒りは、周りの人への攻撃的な態度となって表れるケースが少なくありません。人によっては怒りが、将来に向けた生産的な行動を阻害するケースもあるようです。

また実際に復讐を果たしたとしても、終わりのないいさかいや自己嫌悪に悩まされることも少なくないようです。その意味では、相手への本当の復讐は、自分が幸せになることという格言は当たっているようです。

今日は復讐について調べてみました。

他人の気持ちを理解したいと感じた人は、こちらもご覧ください。

参考:『図解雑学 人間関係の心理学』(齊藤勇/ナツメ社)

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