手を洗うことが気分転換になるという話を聞いたことがありますか?じつは手洗いに心理的な効果のあることがわかっています。仕事に活用したい手洗い効果をまとめてみました。
- 叱られた後の手洗いは要注意!
- 「やる気」も洗い流す手洗い
- 手洗いのタイミングを考えて
叱られた後の手洗いは要注意!
上司が部下を叱った後、その部下がそそくさとトイレに行って手を洗ってしまったら、叱った効果が半減してしまうかもしれないのです。
社会心理学者のジョン・バージが行った実験では、実験参加者に道徳的問題のあった自分の行動を思い出してもらい、その後2つグループの片方にだけ除菌効果のあるウェットティッシュで手をふいてもらいました。すると手をふいたグループは、自分の過去の行動からわき起こった罪の意識や後悔の念が薄くなってしまったのです。じつは、別の心理学者の実験でも、手を洗うことで記憶にまつわる感情をぬぐい去れたことが確認されています。
このような効果を知ると、叱られた部下が手を洗いに行くことに、ちょっと躊躇を感じるようになりませんか?手を洗うことで反省や後悔が消え当人はスッキリするのですが、行動を改めようとする意識までも消え落ちてしまうようなのです。
「トイレに行くな」と強制はできませんが、叱った後にすぐ仕事を頼むなどして手を洗うことなく反省の時間を持ってもらうと、行動が改まるチャンスが増えるかもしれません。
「やる気」も洗い流す手洗い
手を洗う効果は、やる気にも関係があるのを知っていますか?
オスナブリュック大学の心理学者カイ・カスパーの研究によれば、解けない課題を解くように指示を出し、回答できない実験参加者の片方のグループだけに手を洗うように指示をだしました。
結果、手を洗ったグループも洗わなかったグループも、特に落ち込むことなく2度目の課題に取り組んだものの、手を洗ったグループは楽観的に課題に取り組んでいたのが確認されました。しかも課題の成績は、手を洗わないグループの方がよかったのです。
どうやら手を洗うことで、失敗したことに精神的に一区切りついてしまい、もっと頑張ろうという意欲が衰えてしまったようなのです。
手洗いのタイミングを考えて
こんな手洗い効果を、自分自身に活用してみたらどうなるでしょう。
悔しさをバネに頑張りたいと感じたなら手を洗わない。逆に怒られたり、注意されたこと自体が理不尽で、早く忘れて前向きに頑張りたいと感じたら、すぐに手を洗った方がいいでしょう。
最悪なのは、もう少しでどうにかなりそうな課題を前に手を洗ってしまうこと。なぜなら、問題を解決しようという意欲が一気に下がってしまうからです。
このように考えると手を洗うタイミングが、意外に重要だということがわかってきます。どのタイミングに手を洗って記憶と感情をリセットするかは、ストレスの多い仕事では、とても重要になってきます。
手洗いも戦略的にということでしょうか!