アファメーションを知っていますか?なりたい自分をフレーズにして何度も口にすることで、実現に導くといったもので、アスリートにより効果が確認されたという論文もあります。アファメーションの世界をちょっと覗いてみませんか?
- スポーツ競技で効果が!
- 6つのポイント
スポーツ競技で効果が!
アファメーションは肯定的な言葉を自分に投げて、自身を変えていく手法です。唱えるだけで変わるなら苦労はないと思うかもしれません。しかし、そもそも人は言葉にするかは別にして、さまざまな独り言を繰り返しています。「なんて自分はダメなんだろう」といった独り言で自分を責めている人の幸福度が低いことは、心理実験などでも確認されています。
人は「言葉」によって動くので、その影響力はバカにはできません。
実際、アファメーションに効果があったという研究論文も発表されています。筑波大学の白木駿佑氏と木越清信氏は、400メートル走にアファメーションを活用して、理想のペース配分を実施することに成功しています。
400メートル走はペース配分が大きなポイントとなる競技ですが、それにはスピードだけではなく「競技者における内部感覚」も変えていく必要があると言われています。体の感じ方をコントロールしてペース配分を変えていくのは簡単なことではありません。それに10年を費やしたという競技者の証言もあるほどです。
しかし、この論文ではアファメーションを活用することで最適な内部感覚を短期間で手に入れて、さらに改善することに成功しています。その具体的な方法は、レース中の身体の動きや気持ちなども文章にまとめてタブレットの待ち受け画面にし、1日20~30回ほど音読するというものでした。
結果、最後の100mで急激に失速してしまうレースパターンについて、トレーニングを変えずにアファメーション実施し、わずか4ヵ月で課題を克服することに成功したのです。
唱えるだけといった簡単さから、効果を疑う人も少なくないアファメーションですが、イメージトレーニングの一環だと考えれば納得できる部分も多いのではないでしょうか。
6つのポイント
具体的な方法について、見ていきましょう。
①唱える言葉を現在形で
アファメーションでは、「したい」とか「なる」といった言葉を使いません。健康を願うならなら、「私は健康である」と唱えます。また「すぐに」とか「より良く」と抽象的な概念を唱えるのも禁止です。
自分の望むものを明確にし、フレーズに示すことが重要なのです。
また否定形も使ってはいけません。例えば「病気ではない」といった表現は、「病気」というマイナスに意識が集中してしまうので使ってはいけません。
②自分が信じられる肯定的な内容に
「私は自信を持っている」と唱えたとき、そこに疑念を感じてしまうようだと効果はイマイチのようです。「私は自分の夢を実現することができる」といったように、心からから信じられるものにします。
③具体的でシンプルなものに
先程紹介した論文では、目標タイムや体の動きといったものが、しっかりと言語化されていました。ビジネスで応用するなら目標額や、その手法などもしっかりと言葉にしましょう。
④「私は幸せです」という文言を入れる
本当に幸せだったときの気持ちを、「私は幸せです」という言葉とともに思い出してみましょう。
⑤大声で肯定的な言葉を繰り返す
アファメーションは潜在意識に訴えかけるものなので、繰り返し実施することが重要になります。チキデイビス博士によれば、ろうそくに火をつけて唱えることで、その香りや灯りが効果を強めることができると指摘しています。
⑥視覚化する
アファメーションを実施するときに、なりたい自分が実現したときの情景を詳細に思い浮かべましょう。その光景はもちろん、そのときの気分や匂いなども思い出すようにするといいでしょう。
アファメーションは継続することが重要です。効果が出ないからと簡単にあきらめるのではなく、しつこく唱えて、自分の行動を変えていきましょう。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「Positive Affirmations: Definition, Examples, and Exercises」(Betsi Sites & Tchiki Davis, MA, PhD/The Berkeley Well-Being Institute)/「ある男子400m走競技者を対象としたアファメーションによるレースパターン変容の試み」(白木駿佑 木越清信)