ゴム製の手の錯覚から片付けを考える

生活環境なんて散らかっていても不潔でなければ、たいして影響ないと思っていませんか?じつは、思っている以上に環境が大切かもしれない。そう思わせる心理実験をご紹介しましょう。

  1. ゴム製の手が本物の手になる!?
  2. 空間も身体の一部になる
  3. 片付けるだけで心穏やかになるかも

ゴム製の手が本物の手になる!?

「ゴムの手の錯覚」とい有名な心理実験を知っていますか?

鏡を使って自分の手のように見える位置に置かれたゴム製の手に、実際の手とタイミングを合わせて刺激を与え続けると自分の手と同じように錯覚してしまうとうもの。

机の下などに見えないように置いた本物の手とゴム製の手の両方を細い筆でなでます。するとだんだんゴム製の手が本物の手のように感じられ、ゴム製の手だけをなでても、なでられたと錯覚してしまうというのです。

しかもゴム製の手を自分の手だと実験参加者が錯覚すると、本物の手の温度がわずかですが下がることも知れています。自分の手だと感じなくなると、温度が下がるというのは、ちょっと不思議な感じがしますね。

ここまでは「ゴムの手の錯覚」としてよく知られた実験です。しかしスウェーデンのカロリンスカ研究所のアーヴィド・グテルスタム氏、ジョバンニ・ジェンティール氏、ヘンリク・エールソン氏が発見したのは、さらに奇妙な感覚でした。それはゴム製の手がなくなっても、錯覚は続くということです。

錯覚が起きた後にゴム製の手を取り除いて、ゴム製の手があった空間をタッチしても、触られたような感覚が起きるし、ゴム製の手がない空間にナイフを突き立てると、被験者は汗をかき始めてしまうというのです。

空間も身体の一部になる

つまりゴム製の手が自分の身体だと感じられるようになれば、それがある空間も身体の一部と同じように感じられてくるということなのです。

これは一流のスポーツ選手の話として、耳にしたことがあるかもしれませんね。グローブは手のようだとか、スケート靴は足のようだとかいったものです。スケートの刃を通してしか氷の状態がつかめないのに、まるで素足で歩いているように氷の表面の状態を把握できるのは、道具を通して身体の感覚が拡張していったからだといえるのではないでしょうか。

空間そのものを身体のように把握するという意味では、打撃系の格闘技では互いの間合いを測り合って、相手に有利な間合いをと取ろうとジリジリとしたお見合いが起きることがあります。臨戦態勢での対峙は、素人には見えないだけで、達人同士は身体化した空間を奪いあっているということなのでしょう。

片付けるだけで心穏やかになるかも

こう考えると、自分の身体が影響を受ける範囲は、意外に広いかもしれません。実際、手を近づけただけで、触らなくても皮膚が接近を感じることもあったりします。

散らかっているのが平気な人でも、乾いていないTシャツは嫌だったりしませんか?肌に触れているものへの不快感は無視できないものですが、じつは気にしないようにしているだけで、散らかった部屋なども拡張した身体の感覚は何かを感じとっているのかもしれません。

手を洗うのと同じように、目についたところだけでも片付けると、少し心と身体が休まるかもしれません。

参考:

視覚+触覚情報が生む新しい「境界」:「ゴムの手を自分と感じる錯覚

何もない空間が自分の手になっていく…って

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