運がよくなりたい人に試してほしい「セレンディピティ」のための6項目

運の良し悪しが人生の明暗を分けることもあります。実力だけで結果がついてくるわけではないことを、社会に出て痛感することもあるでしょう。だからこそ運の良い人になりたいと思うのも当然でしょう。そんな願いを心理学が叶えることができるって知っていますか?

「運」は研究されている!?

運の良し悪しは努力でコントロールできるって知っていますか? そんなバカなと思うかもしれませんが、こうした考え方自体はビジネスシーンや研究の世界では当たり前になりつつあるのです。

その証明の一つとなるのが、「セレンディピティ」という言葉でしょう。これは「幸運な偶然を手に入れる力」を意味します。ネットなどで検索すると、さまざまな人が「セレンディピティ」の重要性について語っていることがわかるでしょう。

運の良し悪しは、どこに表れる?

では、そもそも運の良し悪しとは、何を指しているのでしょうか?
じつは運が強いと認識している人は、勝負所に強いと認識しているケースが多いそうです。具体的に言えば、スポーツで勝負の明暗が分かれるポイントや、本番のテストなど、ここだけは負けられないというときに幸運を引き寄せる人は、自分のことを「運が良い」と認識するそうです。

これは誰も納得するでしょう。模試だと点数がいいのに、本番の入試は苦手な問題が出てきたといった人は、運が良いとは言えないからです。

これは運が大きく左右するギャンブルでは、より顕著に表れます。勝負に参加せず、推移を見守ることをギャンブルでは「見(ケン)」と呼びますが、この判断が勝敗に大きく関わることはよく知られています。勝負どころでは掛け金を上げ、勝負をしない場面は「見」に徹する。こうしたメリハリが負けを少なくするからです。

長期的には均等であっても、短期的には偏って表れる運を、ここぞというときに捕まえられる人が「運の良い」人だといえるでしょう。

運の良さは思い込み!?

ただ、運の良さに関しては面白い実験があります。運が良いと思っている人に運が作用するゲームをやってもらうと、勝つ自信こそ強いものの実際の勝敗は、運がないと思っている人と差がなかったのです。

こうした結果について、関西国際大学の村上幸史准教授は

「『運の強さ』の認識は自信のようなものに近く、実際の的中や成功という結果には結びついていない」(『幸運と不運の心理学』ちとせプレス)

と結論づけています。
このような結果を聞くと、運の強さは思い込みなの?と疑問がわくかもしれません。しかし勝負どころの運を捕まるテクニックは、すでに研究されているので紹介していきましょう。

幸運をもたらす6つのポイント

ジョンズ・ホプキンス大学の教員でもあるジョージ・エヴァリー氏によれば、運の良い人になるためには、以下のようなポイントがあるそうです。

①活動を続け、注意深く機会をうかがう
自分が手にしたい成果に向けて、地道に活動を続けて実力を養い、チャンスを伺い続けるのが大切なのは言うまでもないでしょう。スポーツなどでも主力の選手が出られないときに、大活躍してレギュラーになったという話はよく聞きます。それは活躍するための努力を怠らず、チャンスを狙い続けてきたからでしょう。

②興味を持つ
自分が手にしたい物事の周辺に興味を持ち続けることが重要です。好奇心を持って新たな視点で、さまざまなことに取り組んでいく。そうした行動が運を引き寄せます。

③不確実な未来を恐れない
確実な未来を求めすぎて冒険しないのは、幸運を手に入れられないようです。見えない未来に向けて挑戦していく姿勢が運を運んでくるそうです。

④自分の能力を信じて行動する
運の良さは自信と行動から生まれます。結果が伴わなくても運が良いと思っている人は行動を起こしやすく、結果、幸運を手に入れる確率が高まるといったこともあるのです。

⑤ネットワークをつくる
他人とのつながりが運を連れてきます。いろんな人とつながりを持つようにしましょう。

⑥変化に適応する
予想していないような問題に直面することは少なくありません。そうしたときに適応する柔軟さが幸運を連れてきます。

結局のところ幸運は、前向きで柔軟な行動から生まれるのでしょう。6つすべてに努力することは難しいかもしれませんが、できそうなところから試してみれば、幸運な人生が始まるかもしれません!

人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:『幸運と不運の心理学』(村上幸史/ちとせプレス)』/「How to Become “Lucky” in Your Career and Life」(George S. Everly, Jr. PhD,/Psychology Today)

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